SSS(拍手ログなど)

1










熱いのは好きじゃない。

俺は体温が高い方じゃないが、ノースの生まれのせいか、寒さには耐性がある。寒い寒いと思いはしても厚い布団がなくても夜を過ごせる経済的な体をしている。

だ、か、ら。

今のよーな状況は、あったかくて心地良いを通り越して、なんつーのか……うーんと。

「てめェ」

ん?

「どこに意識やってやがる」

ゆっくりひとつ瞬きする、おれの眼にふたつ映る表情はいささか不機嫌そうだ、そのわりに頭のてっぺんに触れた手指はやんわりと髪をかき上げていく、地肌に触れる指先の熱さに、一度散りかけた思考がふたたび結われていく。
あーこれは、あれだ。

「我慢大会、みてェな」
「はぁ?」
「あっつい所、サウナとかでいつまで我慢できるか、ってヤツ。あれみてェな感じ?」

脈絡のない言葉をどう捉えるべきか考えあぐねている困惑した気配が、伝わってくる。
指先が髪から退いていくのを目が追う。一緒に離れていく熱がなんだか物寂しいような気がして、体の大部分は触れ合ったままだけど、その熱だけじゃ足りなくなって。

「……うーん、サウナにはちと熱量が足りねェか」
「なんだそりゃ?」
「お前、もーちっと頑張れよ」

たぐり寄せるように手を伸ばせば、何か勘違いしたらしい、鼻息を荒くした体が覆いかぶさってきた。









2

web拍手に七夕頃にアップしていたもの。
合流後のゾロサンの会話です↓





★しちがつなのか、七夕ってナニ? なひとたちのかいわをひとつ★


Z 「願いごとだァ?」
S 「そ」
Z 「たいして興味なさそうなツラで、短冊って言ったか、アレ書いてたみてェだったが、まさかてめェマジで願掛けてたのか」
S 「大マジってほどでもねェけど、こーいうのは願うなら本気で願わねェと、叶うモンも叶わなそうだからな」
Z 「へェ」
S 「神様全般を信じないマリモくんは呆れたか?」
Z 「別に」
S 「アレ、確かに『別に』ってツラしてんな? 意外……てめェはてっきり鼻で笑うかと」
Z 「で?」
S 「ん? ……えーと、『もう一味が離れ離れになりませんように』。ベタだろ」
Z 「叶いそうなのか」
S 「さァ……? そんなん、得体の知れねェ誰かがどうにかしてくれるモンじゃねェし」
Z 「おい、言ってっことが前と後で真逆になってっぞ。バカなのか?」
S 「バカ言うな! わかってっよ。でもなー、願うくらいしか仕様がなかった時間が……ちょっと前にあった、かんな。ついついふらーっと願ってみたくなったつーか」
Z 「―――あァわかった、だが、もう止めとくんだな。そんなんは空の上の神じゃなく、俺に願うのが道理だ」
S 「んだよおれの神様はてめーかよ?」
Z 「神じゃねェ、人間だ。悪魔の実も食ってねェただの、な。だが、ただの人間でもお前の望みくれェは叶えられる」
S 「そりゃまァ、なんと………恐悦至極? デス」
Z 「ふん。存分に感謝しろ」
S 「鼻息荒げんな。……ンでも、おれだけ願いを叶えてもらうってのは気ィひけるなァ……、おれはお前の望み、叶えてやれねェのに」
Z 「わざとらしくしおらしくすんな。キモイ」
S 「いちおー謙遜してみたんだけど」
Z 「いらん。てめェには似合わん」
S 「そーかい。悪かったな」
Z 「まったくだ」
S 「お前、人が下手に出てみりゃえっらそうに……」
Z 「てめェが知らん顔してっからだろ。さっさと言えばいンだよ」
S 「――――……アイシテル。もうどっこも行かねェよ」
Z 「……………」
S 「どした?」
Z 「……るせェ!」
S 「顔が赤いぞー」
Z 「唐突に告んな! しかも棒読み!」
S 「お前の望みを叶えてやったんだろ〜? ダーリン」







3

カップヌードル×ワンピCMを観て。
ピュアピュア高校生BL風。
お互いに片恋中で、相手も脈ありっぽいな〜でも気のせいかもな〜と悩みつつ
踏み出せないでいるゾロサン





「そこに突っ立ってんのはわかってっぞ」

う、見つかった。
って、見つかっていいんだけどさ。
ここで一人で帰られたら、せっかくクラブ終わってから食堂で時間を潰してた意味がない。

「べ、べつにてめェの練習が終わるのを待ってたわけじゃねーよ」
「わかってっよ。そっちもクラブの帰りだろ」
「………」

無言でぷいとそっぽを向く。

「おれのチャリに乗って帰ろうって魂胆で剣道場に来たんだろ。わかってっよ」 

練習し足りないのか、竹刀を振りながら、そよぐ風と一緒に近づいてくる気配に、じり、と後ずさる。
剣道少年は足を止めた。
不自然じゃないほどの間を置いて、すっと竹刀を差し出して、言う。

「んだよ、帰るんじゃねェのか?」
「帰るさ」
「どうせおれがチャリ漕ぐんだろ。ったく、楽すっためにわざわざ来やがって」
「………お前、さァ……」
「だから、んだよ?」

わかってっよ、じゃねェよ。
お前、ちっともわかってねェじゃねェか。

それとも、わかってて、その態度なのか?
竹刀一本分の距離、そこまでしか近寄らない、それがお前の答えなのか?

いっそ訊いてしまおうと開いた口を、寸前で閉じた。
鼻ですうと息を吸う。

「……うちで晩飯食ってくか?」
「おう。チャリタクシーの駄賃は焼肉でいいぞ」
「贅沢言うな、今日はカツ丼だ!」
「それでいいぜ、お前のカツ丼うめェし。早く帰ろうぜ」

竹刀を持ってない方の手で腕を引かれる。
竹刀一本分の距離が一気になくなって、カラカラと笑う声が、じんと沁みた。
苦労して何でもない顔を繕い、剣道バカのチャリの後ろにまたがる。
骨ばった肩にそっと手を置いた。

まだ。

おれは、お前に好きだなんて言わない。
お前のキモチも、おれのキモチに気づいてるのかも、尋ねたりしない。

まだ。
もうすこしだけ。

もうすこしのあいだだけ―――このままでいよう。







4




[ゾロの黒ツナギをサンジが着てみたら]



「ん?これ、結構だぶたぶだな。そーいう形なんだろーけど。 んだマリモ、顔が歪んでっぞ?」
「エロイ」
「いきなり妙な呟きをすんじゃねェ。まさかとは思うがおれに言ってんのか」
「あァ」
「あァ…って、どこがだよ。 露出も少ねェし、形は違うけどスーツとたいしてかわんねーだろ」
自分の格好を見おろしながらサンジが言うと、ゾロはおもむろに首を振った。
「ちげェ」
「んな大きく首振らなくても」

呆れたように、サンジは小首を傾げる。

「お前がコレ着ててもエロくみえたことねーんだけど?」
「てめえだからエロイんだろ」
「どこがだよ?」
「ズボンのダボダボから細い足がにょきっと出てっとことか」
「……お前、意外と細かいとこ見てんな。でもそーかァ? 言われても自分じゃ分かんねェなあ」

手慰みにズボンをひっぱりながら、サンジは閃いたようにぱっと顔をあげた。

「そーだ、ナミさんたちに見てもらおっかな、どーせならレディに評価してほしいもんな」
「まて」
「んだよ」
「脱げ」
「ああ?」
「何やってんのよあんたたち」

間の悪いことに、そこにちょうどやってきたナミが見たのは。
ゾロがサンジのズボンをずり下ろそうとしている光景、であった。

「あ、ナミさん」
「なにやってんの?」
「え? と……おれがエロイとかマリモが言うからさ」
「いいから黙って脱げ」

瞬時に、ナミのこめかみに青筋が立ち。

「あんたたちねぇ……、そんなのはどっかに隠れてやんなさいよ!」



―――間―――


「あーあ、見てもらう前に追いやられたじゃねーか、てめーのせいだぞ!」
「おれのせいじゃねーだろ」
「んだと? ……あれ? てかナミさんなんで怒ったんだろ?」
「その服が気にいらなかったんじゃねーか」
「んなわけねー! ……ねーよな?」
「がたがた言うな。脱ぎゃあ終わる話だ」
「そ―いう話かぁ? ………しょーがねぇなあ」

納得できないながらも、ゾロの押しの強さに言い負かされて渋々服を脱ぐサンジでありました。



「……って、何で押し倒してやがる!」
「てめェがエロいからだ」
「えろく見える服はもう脱いだだろ! …ちょ、このつもりで脱げとか言ったんか!?」
「いや。他のヤツにあのカッコ見せねーためだ」
「……それ? …だったらなんで押し倒すんだよ!?」
「脱いだついでだ」
「あのなぁ……! 昼間っからまじヤメロ、って……っア…!」



―――以下略!―――



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